SEが起業してフリーランスをするときに、独立準備として資金調達をする必要はあまりないと誤解することがある。確かに初期費用が極めて少なくて済むのは、他の職種における独立とは大きく異なる点だろう。必要な機材を購入する程度しか大きな費用がかかる部分はなく、必要に応じてオフィスを用意するとその分だけコストがかかるという程度である。オフィスについても自分が納得できる程度で整備をすれば良いので費用は節約できる。
しかし、それ以外に十分な資金を確保しておかなかったためにフリーランスを断念してしまうケースは多い。生活費が足りなくなってしまう状況になってしまい、企業への再就職を考えたり、アルバイトをしたりしなければならなくなることがあるのは覚えておく必要がある。SEであっても独立準備として資金確保は不可欠であり、収入が入るまでに一年以上かかるケースもあることを念頭に置いておかなければならない。一年間は安心して暮らせる程度の生活費を確保しておいた方が無難だろう。仕事の案件を手に入れるまでに数ヶ月かかってしまうケースは多いが、請負案件を選んでしまったときには成果物を納品するまで報酬が入らないので、収入が入る日が遠ざかってしまう。委託案件の場合にも最初の報酬の受領が一ヶ月以上先になる場合もあるので、当面は暮らせる資金を要ししておくに越したことはない。営業活動にかかる費用も考慮すると一年分の生活費が最低ラインなのである。